パンドラの箱。オオハリアリとナカスジハリアリ。
先日、倒木下を探りダルマアリとテラニシハリアリを採集した日。
土壌や木屑の中を探る中で最もたくさん出てきたサンプルがオオハリアリの仲間だ。
森林内はもちろんのこと、都市公園や市街地でさえも目にするこのオオハリアリ。全くもってレア感が湧かない為、この日も一応サンプル採集はしたもののしばらく放置していた。
…しかし頭の奥では分かっている。「オオハリアリ」に見えるアリは一種ではないと。。
かつて「オオハリアリ」という一つの種とされていたアリは現在では「オオハリアリ」と「ナカスジハリアリ」という2種に分かれるとされている。
それぞれはとてもよく似ているが形態上でもわずかな違いがあり識別可能なのだそう。
形態上の違いがどんなものであるかは頭に入っていないが、オオハリアリは市街地など人の手の入った環境でも生息しているのに対しナカスジハリアリは森林内に多いとされている。
今回森林内で採集したサンプルは実はナカスジハリアリなのではないのか??
そんな淡い期待が湧いてきた。
「ちょっと…検証してみようか…」
日本産アリ類図鑑によれば両種を識別可能な形態的特徴は前胸と腹柄節に現れているようだ。
<前胸>
・オオハリアリ
「背方から見て前胸背板前縁は丸みを帯びる」
・ナカスジハリアリ
「背方から見て前胸背板前縁は角ばる」
<腹柄節>
・オオハリアリ
「腹柄節背面は後方から見てより強く弧を描く」
・ナカスジハリアリ
「腹柄節背面は後方から見てより緩やかな弧を描く」
…どちらも相対的な特徴に見える為、比較対象が必要だ。
自宅(市街地)を出てすぐのところでアスファルトを歩くオオハリアリ(推定)をサンプル採集して森林内で採ってきたサンプルと比べてみる…
う〜ん…微妙…
森林からのサンプルの方が前胸が角ばっているようにも見えるが、腹柄節の特徴に違いがあるのか自信が持てない…
これは恐らくもっとたくさんのサンプルを見比べて、特徴を掴まなければいけないのだろう。
判別が難しいのは分かっていたが手を出してしまった…
オオハリアリとナカスジハリアリ。
難解なパンドラの箱を開けてしまった…