アギトアリが飛んだ夜

8月下旬。

異常な暑さに見舞われた今年の夏は8月も後半に差し掛かると"毎日スコールが降る"という熱帯のような天候パターンを見せた。

8月後半から結婚飛行を始めるアリとしてはトゲアリキイロシリアゲアリ、そしてアギトアリなどが挙げられる。

連日の厳しい暑さの中で昼過ぎから夕方にかけて短時間の激しいスコールが降るとなれば翌日はアリの結婚飛行のチャンスではあるが、翌日もまたスコールが降る、そのまた翌日も…

これでは飛行を行おうとするアリ達を雨が直撃してしまい大規模な結婚飛行は期待出来ない。このパターンはいつまで続くのか…

局所的に降るスコール



週末。雨予報の弱まった日曜日。

「これはいけるかもしれない…!」

ターゲットにアギトアリを選択し、彼らの生息するフィールドへ出掛けることにした。

 

アギトアリの飛行時間帯は夕方から夜。

この日は19時を狙って出掛けたが、その間も雨雲レーダーを見ると絶えず小さな雨雲が発生してはフィールドを掠めていた…危ない危ない…

危ぶまれていた雨は降らず、良い条件の揃った夜となった。

夜19:00。フィールドへ到着。

過去にアギトアリの有翅雌や脱翅雌を確認したことのある場所を順に辿っていく。

まず最初は森に入ってすぐのところにある割と大きめの灯火がターゲット。アギトアリは灯火周辺でも見つかることがあるが、光に集まっているのか、それとも単に近くに巣があっただけなのかはまだよく分からない。灯火に向かって飛んでいるのを見たわけではなく灯火周辺の地表で見つけたというだけだからだ。

目的のスポットの探索を始める・・・と、すぐに有翅雌を発見!

発見場所はやはり地表だ。

幸先の良いスタート。やはり今日は飛んでいる!

アギトアリの有翅雌

アギトアリの結婚飛行の時間帯はやはりこの19:00前後と見れば的外れではないように思う。

周辺を探索するとオスアリや脱翅雌もすぐに見つかった。

【参考】アギトアリのオスアリ(2021年)

今回見つかったアギトアリの脱翅雌

探索開始早々、ひとまずの収穫を確保できたことで落ち着いた精神状態で次のスポットへ向かう。

次に向かうのは森の中を走る車道脇の側溝の探索だ。

ここも過去にアギトアリの女王を見つけているスポット、暗い車道脇をライトで照らしながら歩いて行く・・・

しばらく探すと・・・いた!アギトアリの有翅雌だ。

アギトアリの巣が近い場所に差し掛かったのか、ここからは有翅雌、脱翅雌のオンパレード。

2~3m歩くごとに有翅雌か脱翅雌が見つかるというフィーバー状態に突入した。

探索開始直後は念の為にと有翅雌も採集していったが、あまりに頻繁に脱翅雌が見つかる為、途中からは脱翅雌のみを採集していった。

アギトアリの有翅雌

アギトアリの有翅雌2匹

アギトアリの脱翅雌

 

探索を始めてすぐにアギトアリが見つかったことから1時間程で採集は終了。

採集成果は脱翅雌11匹、有翅雌8匹。

帰宅後に有翅雌3匹が翅を落とした為、最終的には脱翅雌は14匹となった。

いや〜、たくさん獲れたな〜。

採集の成果

採集したアギトアリの脱翅雌


帰宅後、採集したアギトアリ新女王14匹を以下のように分けることにした。

 

・新女王1匹ずつを3セット(試験管巣)

・新女王2匹ずつの多雌管理を2セット(試験管巣)

・新女王3匹の多雌管理を1セット(試験管巣)

・新女王4匹とワーカー約30匹を同居させたコロニーを1セット(縦タイプ石膏巣+野外フィールド風エサ場)

下から・・・

・新女王1匹ずつ3セット(試験管巣)

・新女王2匹ずつの多雌管理2セット(試験管巣)

・新女王3匹の多雌管理1セット(試験管巣)

新女王4匹とワーカー約30匹を同居させたコロニー(縦タイプ石膏巣+野外フィールド風エサ場)

新女王単独、複数の新女王の多雌状態、多雌+ワーカーとの同居状態。

それぞれ異なる条件での飼育管理で、この日飛行を行ったアギトアリ新女王達がどのような経過を辿るのかは引き続き注目して見ていきたい。

 

8月下旬。多くのアギトアリが飛び交った夜はこうして幕を下ろした。

 

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