北関東の山地で出会ったオオアリの仲間。
8月上旬の北関東アリ観察旅行。
平地での観察に加えて山地帯でもアリを観察することが出来た。主な観察地は標高1400~2000mのエリア。
標高1400m付近で主に観察出来たのはムネアカオオアリ。8/4に結婚飛行後の脱翅雌が見つかったのもトピックスではあるが、注目はワーカー達だ。
一般的にムネアカオオアリは標高が高い地域程体色が黒化する傾向にあり、今回のような場所に来た時にはムネアカオオアリの色を確認することも楽しみの一つだ。
さてさて、今回はどんなムネアカオオアリが見られるかな…
ムネアカオオアリは主に標高1400m前後の森林地帯で観察することが出来た。遠目に既に少し暗い色に見えるが果たしてどんな具合だろうか…
手に取ってみるとやはりやや黒化傾向が見て取れる。
全体的に前寄りの部位、前胸から中胸にかけて一般的なムネアカオオアリよりも黒い色となっている。過去にはほぼ完全に黒化した個体を見つけたが、前伸腹節や腹柄節に一部赤みが残っており、やはり傾向としては前から後ろに向かって黒化が進んで行く傾向にあるのだろう。
一方で、黒化は前方からグラデーション的に連続的な色の変化となっており、前胸のみ明確に黒く中胸以降はハッキリと赤いニシムネアカオオアリとは違うのも面白いところだ。
ムネアカオオアリの観察を楽しんだ後は標高を上げて2000m付近へ。
この森に隣接するエリアでは過去にカラフトクロオオアリの脱翅雌やワーカーも見られている。
ポイントは違うがここでもカラフトクロオオアリは見られるだろうか。
森を歩いて探索していくが森林内では地表を徘徊したり石や落枝の下などに営巣するアリはほとんど見られなかった。(ちゃんと探せばきっとどこかに潜んでいるんだろうな…)
しばらく歩いていると林道の木枠を歩く大きな影を見つけた。カラフトクロオオアリだ…!
やはりこの森にも棲んでいたか…でも見つけたワーカーは脚を欠損し弱っていた。どこから歩いてきたんだろうか。
それ以降、しばらくの間はまた何も見つけられない時間が続いた。
やっぱりさっきのワーカーはイレギュラーな場所にいたんだろうか…?
しばらく進むと森林内に大きな岩が露出した岩場があった。そこを観察すると…いた!
岩場を歩き回るカラフトクロオオアリのワーカー。
今度は弱った個体ではなく元気なワーカーであった上に複数のワーカーが確認出来た。
岩場付近をしばらく探索したが残念ながら巣口などは発見出来なかった。また、時期的に脱翅雌なども見つからないか密かに期待していたが、こちらもそう上手くはいかず…
しかしながら、このエリアで2度目のカラフトクロオオアリ観察が叶った。
1回目の観察は「点」、2回目の観察では「線」となる。
このエリアでのカラフトクロオオアリの生息地がより立体的に想像出来るようになる。そんな真夏の観察旅行だった。